米国債は今週、1年ぶりの大幅上昇を果たす勢いで、投資家に高リスク資産への回帰を促している。消費者物価の上昇を一時的な現象と見なす米連邦準備制度は正しいとの見方が、投資家の間で広がっている。
10年物米国債利回りは10日、3カ月ぶりの低水準となった。市場参加者は今年後半に金利が急上昇し株式や商品に影響を与えるとの懸念を後退させつつある。これらの資産には超緩和的な世界の金融政策と新型コロナウイルス禍からの経済の回復による後押しが続くとみられる。
インフレに関する新たな安心感で、投資家やストラテジストは債券利回りが上昇し始めた昨年8月以来動きがさえなくなった資産への強気を増した。テクノロジー株を中心に割高な成長株と新興市場資産が、一部投資家の買い対象に加わった。
クレディ・スイス・グループの投資ストラテジスト、スレシュ・タンティア氏は「昨日の債券利回りの動きはインフレが一時的なものになる可能性が高いという米連邦準備制度の主張を支持している。投資家はテクノロジーやヘルスケア銘柄、投資適格級債券、金など市場の中で金利動向に敏感な部分に押し寄せている」と話した。
5月の 米消費者物価指数(CPI)は2008年8月以来の上昇率だったが、10年物米国債利回りは10日に6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。
トレーダーは消費者物価の大幅上昇にもかかわらず、米国債のショートポジションをさらに解消しようとしている。こうしたリスクオン状況の中で一部投資家は新興市場資産を選好。グローバルCIOオフィスの最高投資責任者、ゲーリー・ドゥーガン氏は「新興市場債が値上がりすると予想している。その結果としてのドル安が、為替ヘッジコスト上昇の懸念を一部相殺するだろう」と述べた。
長期債利回り低下見通しを受けて成長株への回帰を促す声もある。今年に入ってリフレトレードが活発化し、割高なテクノロジー株からバリュー株に資金が流れていた。
JPモルガン・チェース・アセット・マネジメントのグローバル・マルチアセット担当ストラテジスト、シルビア・シェン氏は「米国債利回り低下はこのところ見られた成長株からバリュー株へのローテーションを一時停止させる公算が大きい」と述べた。「地域的には、バリュー株の多い欧州や日本に対し成長株の比重が大きい米大型株や新興市場が有利になるだろう」と話した。
原題:
Treasuries’ Defiant Rally Thrusts Investors Back to Risk Assets(抜粋)
米国債、CPIにひるまず値上がり-投資家をリスク資産に追いやる - ブルームバーグ
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