全国2937店舗(2021年10月現在)を展開するマクドナルドに、かつて一風変わった「乗り物」があったのをご存知だろうか。赤い2階建てのロンドンバス「パーティーバス」(通称:ドナルドバス)だ。
平成初期にはパーティー、カラオケができるスペースとして活用されたが、現在は激減。一部の店舗に車体が残るのみとなっている。
子供たちが「連日ドンチャン騒ぎ」
東京と山梨を結ぶ青梅街道。中間地点の東京・青梅市付近を走っていると、赤い2階建てバスが目に飛び込んでくる。前面の行き先表示には「パーティーバス」の文字が記されている。
マクドナルド青梅街道新町店(青梅市)の駐車場内に置かれたバス。車体側面には「ドナルド」や、紫色の「グリマス」や黄色い鳥の「バーディー」など、マクドナルドのマスコットたちが描かれている。反対側に回ると、身長を測れるスポットや、窓越しに顔をはめこんで、写真撮影ができる場所が設けられている。
しかし、赤い塗装はところどころ剥がれ落ち、バスの中に入ることはできない。窓から車内を覗くと、長いソファの上に丸椅子が積み上がっている。使われなくなってから、だいぶ時間が経っている印象だ。
この「パーティーバス」とは、一体なんなのか。日本マクドナルドの社史「日本マクドナルド20年のあゆみ 優勝劣敗」(1991年、日本マクドナルド株式会社)によると、90年2月、東京・世田谷区の「246用賀店」(現在は閉店)で初めて導入されたものだった。
イギリスのロンドンバスを改造した車内には飲食可能なスペースが設けられ、パーティーを開くことができた。246用賀店のパーティーバスを取り上げた日本経済新聞の90年11月26日の記事は「バスの中で幼稚園児や小学校低学年の仲良しグループが誕生会を開き、連日ドンチャン騒ぎを繰り広げている」と、当時の盛況ぶりを伝えている。
マクドナルド担当者「だいぶ前より新規導入はされていない」
91年には関西地区に進出。当時の報道によると、関西1号店となった京都市伏見区の「醍醐店」(現在は閉店)のパーティーバスは、イギリスからの輸入ではなく国内の工場で製造されたものだった。東京都内の店舗には、カラオケボックスが設けられたバスもあったという。
東京や京都、新潟などの店舗に設置されていたパーティーバスだが、J-CASTニュースが11月26日に日本マクドナルドの広報担当者に取材すると「だいぶ前より新規導入はされていない」状況だという。バスが現存する店舗については「すべてを把握できていない」としつつ、今回訪れた青梅街道新町店と、京都・舞鶴市の27号舞鶴店に残っているとした。
担当者によると、27号舞鶴店のパーティーバスは、20年1月まで客席・パーティールームとして使われていた。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け閉鎖。再開を待たずして、店舗は21年12月20日に閉店することになった。
27号舞鶴店の閉店を受け、ツイッター上では「思い出のドナルドバスが...」「ドナルドバスはどうなるんやろ?」とバスの処遇に注目が集まっている。ただ、日本マクドナルドの担当者によると「今後のことはまだ決まっておりません」。
マクドナルドに残された「平成レトロ」も風前の灯火だ。
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)
マクドナルド「パーティーバス」が風前の灯火 誕生会にも使われた「平成レトロ」の行く末は - J-CASTニュース
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