日本郵便は15日、全国の郵便局で顧客の個人情報を記した書類、延べ29万人分を紛失したとする調査結果を発表した。社員が誤って廃棄したケースが多いとみられ、顧客からの問い合わせや不正使用などは確認されていないという。外部への情報漏えいの可能性は「極めて低い」と説明している。
このうち延べ14万8000人分は、投資信託や国債の取引をした顧客の個人情報を記載した「金融商品仲介補助簿」。日本郵政グループの「ゆうちょ銀行」から窓口業務の委託を受けている約2万の郵便局が扱っているが、全体の約3割に当たる6389局で紛失を確認した。
金融商品取引法は同補助簿について7年間の保存義務を課しており、さらに日本郵便は社内規定で10年間の保存を定めている。しかし、内部調査の結果、法令違反となる7年未満で廃棄したケースに加え、そもそも補助簿を作成していなかった事例もあったという。
残る延べ14万2000人分は、送金事務を処理した際に作成する払込取扱票などの紛失で、176局で紛失を確認。これも大半が誤廃棄とみられる。
日本郵便は保存すべき書類が膨大なことが紛失の背景にあるとみて、電子データへの移行作業を進めている。日本郵便の長谷川篤執行役員は記者会見で「社会的役割を担う立場としてお客様情報の紛失は誠に申し訳ない。深くおわびする」と陳謝し、担当役員3人を厳重注意処分としたと明らかにした。
日本郵便は2020年秋、複数の郵便局で補助簿などの紛失が明らかになったことを受け、全国の郵便局を対象に10~19年度の書類の保存状況を調べていた。【村尾哲】
日本郵便 顧客情報延べ29万人分紛失で調査結果公表 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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