中国の生産者は消費者へのコスト転嫁を進め、インフレリスクが増大している。中国人民銀行(中央銀行)に景気下支えに向けた金融緩和余地が残されているのか議論が再燃している。
国家統計局が10日発表した10月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比13.5%上昇。ブルームバーグのエコノミスト予想中央値は12.3%上昇、9月は10.7%上昇だった。
10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%上昇と、2020年9月以来の高い伸び。エコノミスト予想は1.4%上昇、9月は0.7%上昇だった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは1.3%上昇と、前月から伸びが若干拡大した。
中国の生産者物価、26年ぶり高い伸び-スタグフレーション懸念も
中国の生産者物価はここ数カ月で急加速している。当初は世界的な商品値上がりが原因だったが、その後は全国的な電力不足に伴う生産抑制が響いた。また、天候関連の供給問題で食品価格が押し上げられたほか、メーカーによる小売業へのコスト増の転嫁で消費者物価上昇率も拡大し始めている。
華興証券香港のマクロ・戦略調査責任者、龐溟氏は今回の物価指標について、「生産・消費両面で幅広いインフレ圧力を示唆している」と指摘。「インフレ圧力や他の主要国で強まる金融政策のタカ派スタンスを受け、中国の金融緩和余地は限られそうだ」と話した。
国家統計局のシニア統計学者、董莉娟氏は発表文で、生産者物価の大幅な伸びは輸入インフレと主要なエネルギー・原材料の国内供給不足が原因だと説明。一方、消費者物価の加速は天候や一部製品の需給逼迫(ひっぱく)、コスト増などが背景にあると指摘した。
中国株は下落
10日の中国株式市場では統計発表後にCSI300指数が一時1.9%下落した。
凱基証券の陳浩アナリストは、予想を上回る物価上昇率は「人民元建てA株市場にとって悪いニュース」だと説明。「市場は低迷する経済の下支えで幾分の政策支援を期待しているが、今回の消費者物価のデータでその余地が限られるかもしれない」と語る。
ナットウエスト・マーケッツの中国担当エコノミスト、劉培乾氏は生産者物価を抑制するため政策当局は商品や原材料の供給と価格の安定化を今後も優先する一方、CPIが依然として目標を大きく下回っていることから、人民銀が金融政策を引き締める公算は小さいとの見方を示した。
原題: China’s Inflation Risks Build as Producers Pass on Higher Costs(抜粋)
(詳細を追加し更新します)
中国インフレリスク増大、消費者に価格転嫁-金融緩和余地縮小か - ブルームバーグ
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