新型コロナウイルスでは各国のワクチン戦略が感染抑止の成否に大きく作用し、特に日本では国産ワクチン開発の必要性がクローズアップされた。創薬ベンチャー「アンジェス」(大阪府茨木市)が大阪大と共同で開発を進める「DNAワクチン」はウイルスのたんぱく質をつくるDNAを使った新しいタイプで、2020年6月に臨床試験(治験)を開始。当初は「国産最速の実用化」を予測する声もあったが、現在も最終段階の治験に進めていない。何があったのか。アンジェス創業者の森下竜一・大阪大寄付講座教授に話を聞いた。【聞き手・松本光樹】
――現在の開発状況は。
治験を通して、DNAワクチンはメッセンジャー(m)RNAワクチンと比べて発熱や倦怠(けんたい)感が出にくく、安全性が非常に高いことがわかってきた。一方、(遺伝情報の通常の転写プロセスと同様に)やはり体内でDNAからmRNAにしなければいけないので、有効性に関しては、残念ながら今の用量では現状の(mRNAワクチンの)米ファイザー製やモデルナ製には及ばないこともわかってきた。さらに有効性を上げるため、投与量を増やしたり、(少量の火薬を使って皮膚からワクチンを吸収させる)火薬式の針なし注射器を開発して、(免疫細胞が多く、より高い効果が見込める)皮内に正確に投与できるようにしたりと、改良法を確かめている。
――DNAワクチンの立ち位置は。
単独での有効性に関してはmRNAワクチンが非常にすばらしい。ただ、長期間の副反応とか、繰り返しの投与による副反応はわかっておらず、mRNAだけを頼るのは危険だ。今後毎年打たないといけないとなれば、当然もっと安全性の高いワクチンが必要になる。…
国産ワクチン「先頭ランナー」いまだ最終治験進めず 開発者が語る訳 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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