2021年09月29日08時51分
【北京、香港時事】中国で電力不足が深刻化している。背景には発電用石炭の高騰や環境規制の強化がある。現地に進出する日系企業にも影響が広がりつつあり、不動産開発大手・中国恒大集団の経営危機に続き、新たな「中国リスク」として懸念されている。
現地メディアなどによると、中国東北部では23日以降、電力供給制限が実施された。停電で信号機が消えたり、集合住宅のエレベーターが止まったりするなどの混乱が生じており、冬の到来を前に不安が高まっている。吉林省長春市の住民は「停電の間隔は短くなり、時間は長くなっている」と語った。
主因は石炭の値上がりだ。中国では総エネルギー量に占める石炭の割合が3分の2に達するが、相次ぐ炭鉱事故に伴う安全基準の強化などを受け、石炭生産の伸びは鈍化。国内製造業の旺盛な需要もあり、石炭価格は過去最高値まで上昇しているという。
二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向けた各地方のエネルギー消費削減目標も、石炭火力を主体とする電力供給の重しとなっている。目標達成が困難な地方は発電量を絞るなどエネルギー消費の抑制に奔走しており、製造業が盛んな江蘇省や広東省などでは工場の操業停止措置が取られている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)広州事務所の調査によれば、南部の広東省では自動車関係など少なくとも約180の日系企業で操業停止などの影響が出ている。ロイター通信は、米アップルやテスラと取引のある工場でも生産が混乱していると伝えた。
国家エネルギー局は26日、冬場の暖房維持に向け、石炭や天然ガスの増産や確保を指示。送電会社の国家電網は27日、「基本的な民生用の電力需要を保障し、電力供給制限をできるだけ回避する」と強調した。
電力不足が深刻化 日系企業にも影響―中国 - 時事通信ニュース
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