米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米経済の回復について、金融当局による大規模な資産購入の縮小を開始できるだけの進展はまだ見せていないと指摘した。インフレ率については、向こう数カ月高い水準が続いた後、鈍化する可能性が高いとの認識を示した。
議長は14日、下院金融委員会で証言する。事前に配布された原稿によれば、「連邦公開市場委員会は6月の会合で、昨年12月に当局が資産購入に関するガイダンスを採用して以来、経済が当局の目標に向けてどのように進展しているかについて議論した」とし、「『一段と顕著な進展』の基準到達にはなお程遠いものの、進展は継続すると参加者はみている」と説明した。
TDセキュリティーズのグローバル金利戦略責任者プリヤ・ミスラ氏は、パウエル議長は「金融当局が出口に関する圧力を感じている、ないし資産購入のテーパリング(段階的縮小)を近く決定するといった見方を押し返そうとしている」と分析。「労働市場回復の道のりは長いと議長は指摘した」と述べた。
インフレについて議長は、「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されている業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が解消されるのに伴い一部反転するだろう」と指摘。「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で大きな打撃を受けたサービス分野の価格もここ数カ月に上昇している。経済活動の再開とともにそうしたサービスへの需要が急増しているためだ」とした。
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パウエル議長は資産価格とリスク選好の高まりにも言及したが、金融市場に端を発する経済への短期的なリスクについては重大視しない考えを示した。
議長は「家計のバランスシートは、ならしてみると極めて力強く、企業のレバレッジは高い水準から低下してきており、金融システムの核となる機関は引き続き強靱(きょうじん)だ」と指摘した。
インフレ期待に関しては、「中長期のインフレ期待に関する指標はパンデミックの間に記録した低水準から上昇しており、連邦公開市場委員会(FOMC)が掲げる中長期のインフレ目標とおおむね整合するレンジにある」と説明した。
議長は「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道のりが残っている」とし、回復完了にはまだ程遠いとの認識を改めて示した。その上で、「公衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用に重しとなっているパンデミック関連の要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強さを見せるだろう」と述べた。
原題: Powell Says Achieving ‘Substantial Further Progress’ a Ways Off(抜粋)
(第3段落に市場関係者のコメント、最終2段落に議長の発言を追加し、更新します)
パウエルFRB議長、米経済「一段と顕著な進展」にはまだ程遠い - ブルームバーグ
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