米上院消費者保護、製品の安全性、およびデータセキュリティに関する小委員会は10月5日(現地時間)、米Facebookの元従業員で同社を内部告発したフランシス・ホーゲン氏を召喚しての公聴会「Protecting Kids Online: Testimony from a Facebook Whistleblower」を開いた。ホーゲン氏は、Facebookによって引き起こされた危機を解決するためには政府の介入が必要だと主張した。
ホーゲン氏は2019年にFacebookに入社し、誤情報対策チームのプロダクトマネジャーを務めたが、このチームが解散になったことをきっかけに5月に退社した。内部の問題を告発する目的で退社するまでに数万ページもの内部データを密かにコピーし、米Wall Street Journalに提供した。
今回の公聴会は、WSJの一連のFacebook批判記事を受けて開催された。
ホーゲン氏は冒頭陳述で、「Facebookは常に自身の利益をユーザーの安全より優先してきた。その結果、社会の分断、過激主義、二極化を増幅し、世界中の社会を弱体化させるシステムを生み出した」と語った。「私は恐ろしい真実を知ったので踏み出した。Facebookの外部ではほとんど誰も内部で何が起きているのか知らない」。
公聴会ではそのタイトル通り、Facebookのサービスが若者に与える悪影響についての質問が続いた。Instagramについては以前から、かつてたばこ企業が若者を中毒にさせることで利益を得ていたことに例えられてきた。ホーゲン氏は「たばこの場合、肺がんになるのは喫煙者の約10%だけだが、(Instagramの)ユーザーの約20%が深刻なメンタルヘルス問題に直面している可能性があり、Facebookがそれは問題ではないと考えていることに衝撃を受ける」としている。
Facebookは未成年向けInstagramの計画を停止したと発表しているが、「成長を続けたいFacebookは新たなユーザーを見つける必要がある」ので、この計画を完全に停止するとしたら「心底驚く」とホーゲン氏は語った。
同氏は、Facebookからユーザーを守るための幾つかの提言を行った。議会に対しては、アルゴリズムの仕組みを理解する専門家による独立した政府機関の設立、Facebookに対しては、不透明なアルゴリズムによるランク付けではなく時系列でのニュースフィード表示への変更と内部調査の公開などだ。
ホーゲン氏は公聴会の最後に、「テクノロジーをコンピューター中心ではなく人間中心にするために必要な情報を一般の人々が確実に入手できるようにするために、SEC(米証券取引委員会)や議会などの合法的なチャネルを通じて告発するテクノロジー企業の従業員を増やす必要がある」と語った。
Facebookは公聴会終了後、米CNBCなどのメディアに対し「公聴会で証言した元プロダクトマネジャーの在職期間は2年に満たず、部下も持たず、最高責任者レベルの幹部との意思決定会議に出席したこともない。同氏の証言の多くには同意できない。だが、企業が社会的決定を下すことを期待されるのではなく、議会が行動すべきという点にだけは同意する」という声明文を送った。
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